インプラント治療後に口臭が気になる?原因と対策を徹底解説!
インプラント治療後に発生する口臭の原因として考えられる主な要因と、予防・対処法について詳しく解説します。インプラントを長期間にわたり良好な状態で維持するために必要なセルフケアや歯科医院での定期的なメンテナンスの重要性にも触れています。
更新日:2025/05/26

■目次
記事のポイント3つ

・インプラント自体は口臭原因にならないが、清掃不良でインプラント周囲炎になると口臭原因になる可能性がある。
・毎日のセルフケアと、定期的な歯科でのメンテナンスが口臭予防・インプラントの長持ちに重要。
・ドライマウスや喫煙、被せ物の不適合など、インプラント治療後の生活習慣や体の変化も口臭に関係するため、総合的なケアが必要。
インプラントと口臭の関係とは?
「インプラント治療をしたけど、なんだか最近口臭が気になる…」 そのようなお悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
結論からお伝えすると、インプラントそのものが口臭の直接的な原因になることは基本的にありません。インプラントは主にチタンなど生体に優しい素材でできており、ニオイを発することはほとんどありません。
しかし、問題となるのはインプラントの周囲に汚れがたまり続けている状態です。 毎日の歯磨きやセルフケアが不十分だと、歯ぐきとの境目やインプラント周囲にプラーク(歯垢)や食べかすが残りやすくなり、細菌の温床となってしまいます。
強い口臭はインプラント周囲炎が原因かも!?
清掃不良の状態が続くことで、インプラントの歯周病である「インプラント周囲炎(しゅういえん)」を引き起こす可能性があり、これが口臭の大きな原因になることもあります。
インプラント周囲炎(しゅういえん)とは、インプラントの周囲にある歯ぐきや骨が炎症を起こしている状態のことを指します。
初期の段階では
・歯ぐきの腫れ
・軽度の出血
といった症状が現れますが、自覚症状が少ないこともあり、気づかないうちに進行してしまう場合もあるのです。
さらに悪化すると、
・インプラントがグラグラする
・膿が出る
・強い口臭
などの症状があり、最悪の場合はインプラント自体が取れてしまうという可能性があります。
インプラント部分は天然歯とは異なる構造をしているため、細かいすき間に汚れが溜まりやすい傾向があります。一見キレイに見えていても、内部に汚れが蓄積しているケースもあり、それが知らず知らずのうちに口臭につながっている場合もあります。
長く快適に使い続けるためには、丁寧な日常ケアと定期的なメンテナンスが欠かせません。
→メンテナンスの大切さや、どのようなケアを受けるべきかについては「インプラント治療後のメンテナンスの重要性!定期的にメンテナンスに通いましょう」を参考にしてください。
原因①インプラント周囲炎
インプラント治療後に口臭で悩んでいる場合、まず考えられる原因がインプラント周囲炎です。放っておくとインプラントが抜け落ちることもあるため、気づいたらすぐに担当医に相談するようにしましょう。
→インプラント周囲炎の症状について詳しくは「インプラント周囲炎の原因・メンテナンスについて」こちらの記事をご覧ください。
原因②磨き残しによる食べカスの蓄積
インプラントの有無にかかわらず、磨き残しは細菌の温床となります。特にインプラントは磨き残しが発生しやすいため、通常の歯ブラシだけではなくデンタルフロスや歯間ブラシなどを併用するようにしましょう。
原因③ドライマウス
インプラントの有無に限らず、ドライマウスが口臭の原因となっている場合があります。唾液には、お口の中の汚れや細菌を洗い流すために大切な機能「自浄作用(じじょうさよう)」や、殺菌・抗菌作用があります。
そのため、唾液の分泌が少なくなると、細菌が繁殖しやすくなり、結果として強い口臭が発生します。
ドライマウスの原因はさまざまです。
・加齢により唾液の分泌量が減少している
・お薬の副作用で口が渇く
・強いストレスや緊張を感じる
・口呼吸のクセがある
・水分をあまり摂らない
これらの原因が重なることで、お口の中が乾燥しやすくなり、細菌が増殖しやすい環境になりかねません。インプラントをされている方の場合、乾燥が進むとインプラント周囲のケアにも影響が出る可能性があるため、特に注意が必要です。
参考:日本歯科医師会
原因④インプラントの被せものが不適合
稀ですが、被せものが不適合であった場合すき間に汚れが溜まりやすくなり、口臭の原因になりかねません。
原因⑤喫煙
喫煙は、インプラント周囲炎のリスクを高める要因のひとつです。
タバコに含まれる有害物質は、歯ぐきの血流を悪化させ、炎症や治癒の遅れを引き起こす可能性があります。
そのため、喫煙習慣がある方は、より丁寧なセルフケアと、定期的な歯科メンテナンスが欠かせません。インプラントを長く健康に保つためにも、禁煙や減煙を意識することも大切なポイントです。
インプラント治療の口臭を防ぐための方法
口臭を防ぐためには毎日の丁寧なセルフケアが欠かせません。簡単にできる口臭対策について具体的に紹介します。
口臭が気になるときはどうすればいい?
口臭が気になると、人と話すのが不安になったり、会話自体を避けてしまったりすることもありますよね。しかし、原因を正しく知り、適切に対処することで、多くの場合は改善が可能です。
歯科医院でチェックを受ける
「なんとなくニオイが気になる…」と感じたら、早めに歯科医院を受診することをおすすめします。インプラントの状態や歯ぐきの健康を確認し、必要に応じて処置を行います。
インプラント周囲炎の早期発見が鍵です。軽度の炎症であれば、クリーニングや薬剤による処置で改善が可能です。進行する前に対処することで、大切なインプラントを長く保つことができます。
口臭チェッカー
歯科に行く前に、まず自分で確認してみたいという方には、市販の口臭チェッカーを使ってみるのも一つの方法です。
口臭チェッカーは呼気中の成分をセンサーで測定し、ニオイの強さを数値(レベル)で表示してくれる便利なアイテムです。
口臭チェッカーは家電量販店やドラッグストアなどで、約3,000円~6,000円前後で販売されています。
口臭チェッカーは、あくまで「目安」として活用しましょう。気になる時にサッと確認できるので、エチケットとして常備しておくのも良いですね。口臭が気になる場合は、歯科医院で診てもらうことが確実です。
まとめ
インプラントそのものが口臭の原因になることは基本的にありませんが、インプラント周囲に汚れが蓄積しやすく、セルフケアが不十分だと、口臭原因になります。
特に注意が必要なのが「インプラント周囲炎」です。初期段階では自覚症状が少ないものの、進行するとインプラントが脱落する危険性もあるため、早期発見・早期対応が大切です。
定期的に歯科医院を受診しましょう!
記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。
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