「A New Wave in Implant Therapy」 - 第24回米国インプラント学術大会2009

▲ 会場のコンベンションセンター ▲ 展示ホール・入口

■ 世界最大級のインプラント学会 第24回 Academy of Osseointegration (米国インプラント学術大会)

 2009年2月26日(木)から28日(土)の3日間、アメリカ合衆国・サンディエゴにおいて、24回目となる米国インプラント学術大会『Academy of Osseointegration』が開催されました。

 『Academy of Osseointegration』は、アメリカを中心として毎年行われているインプラント治療の学会で、世界で約70カ国、会員数が6000人を超える世界最大級の歯科学会です。

 同学会は、毎回異なる都市で行われますが、今年はアメリカは西海岸、サンディエゴで開催されました。初夏のような爽やかな気候のなか、会場となったコンベンションセンターには、 多くの歯科医師および歯科従事者が集まり、今回の学会への期待と熱気で大いに盛り上がりました。


【最先端のインプラント治療が集結】


▲ Dr.Steven G. Lewis氏 による挨拶 ▲ オープニングセレモニーの様子。

第24回 米国インプラント学術大会は、会長であるDr.Steven G. Lewis氏(写真/左)により開会の挨拶が行われ、今回の学会のテーマ 『A New Wave in Implant Therapy』 が発表されました。Dr.Steven G. Lewis氏は、「インプラント歯科業界における臨床最高水準の技術や科学的な知識を広めることによって、患者様の口腔内の健康を促進すること」を学会の役目とし、常にインプラントドクターにとって有益な場所になるよう構成されていることを示しました。
そして開会挨拶の後は、早速、「診断から最終補綴までにおける最先端のインプラント治療」と題して9人の著名な臨床医および研究者による研究発表が次々と行われました。

【研究発表:診断から最終補綴までにおける最先端のインプラント治療】

「A New Wave in Implant Therapy(インプラント治療の新しい流れ)」をキーワードに、下記の項目における研究が発表されました。収容人数1000人を超える会場は満席となり、大変注目度の高い内容であることが感じられました。

A New Wave
in Diagnostics and Surgical Protocol
診断および外科手術の流れ
- Dr.Paul A. Schnitman
- Dr.Michael Klein

A New Wave in Implant Restorative Designs
インプラント補綴物のデザイン
- Dr.Dario Adolfi
- Dr.Marcus Blatz
A New Wave
in Interface Technology and Instrumentation
外科技術と新しい器具の関連性
- Dr.Holger Zipprich
- Dr.Tomaso Vercellotti

A New Wave in Tissue Engineering
軟組織の新しい増生
- Dr.Joseph P.Fiorellini
- Dr.Daniel Buser


【最新の臨床報告と研究発表 -Treatment Approach】

プレゼンテーション風景
▲ プレゼンテーションの様子

各会場では、ドクターによる臨床報告・研究発表が行われました。約25分を持ち時間とし、骨造成から歯槽堤増大術などの術式に関する様々な研究発表や質疑応答が行われました。 中でも、立見の出る程の注目を集めたのは2日目に行われたDr.Pauro.Maroのプレゼンテーションでした。「コンピューターガイドシステムを使用することでいかにイミディエートローディングを行う際、身体への負担のかかる骨造成を防ぐことが できるか」をテーマに解説などがされました。このような各々のインプラントドクターによる研究テーマの臨床報告は、互いの課題の共有をはかるとともに、完全に同じケースは存在しないと言えるだろう患者に対し、どのように診察し、判断し、治療を行っていくかの指針となるものではないかと感じられました。


【世界各国の歯科関連メーカーが集結】

メーカーによる展示風景
▲ メーカーによる展示の様子

その他のプログラムとして、展示会場では約130社にもわたる歯科メーカーが集結し、最新の機材の展示も行われました。新商品の展示はもちろん、各々のブースではドクターとメーカー担当者が熱心に質疑をかわす姿も見られました。
初日にはコーポレートフォーラムとして、各メーカーによる自社インプラントシステムを用いた症例、研究発表などが行われました。45分程のフォーラムが各フロアで同時に実施されました。今回はZimmer社・Nobel biocare社のフォーラムを聴講させていただきました。
Zimmer社は自社のインターナルエクスの強みと効果を症例と共に紹介されました。Novel biocare社ではノーベルガイドを用いた学術的な治療アプローチの報告などが行われ、CAD/CAMが審美的なインプラント治療のために標準化されつつあることが語られました。


【第24回米国インプラント学術大会に参加して】

今回、世界で一番の規模と呼ばれる米国インプラント学術大会に参加して感じたことは大きく3つあります。

1つ目は、インプラントという歯科治療技術の「先見性」と「エビデンス」の重要性
2つ目は、インプラントシステムにおける世界と日本の世代格差
3つ目は、インプラントという歯科治療の世界と日本の正確な認識の差

1つ目に関して、インプラントという歯科治療が一時的なものではなく、世界では日本以上に天然歯と同様に審美的であり、できるだけ長く使えるものであるべきという先を行く視点で、インプラントの治療技術が発展しているという先見性を感じました。さらに、全く同じ症例はないといえるからこそ、様々な症例を知ることで、術式の確証と応用につなげることができるというエビデンスの重要性を感じました
2つ目に関して、よりインテグレーションの高いインプラントシステムを作るべく各メーカーが切磋琢磨しています。このような海外の学会に参加することで、最新のインプラントシステム、治療方法を知ることができました。エビデンスの豊富さなどにより日本での認可を考えると、すぐに利用できる環境になるのは難しいと思います。しかし、各々の術式、症状にあったインプラントシステムが国の認可の元、よりスピーディーに活用されるようになることが求められるのではないでしょうか。
最後に、アメリカ・韓国・西欧と日本国内でのインプラントの浸透度の差を肌で感じました。それは「インプラント」という治療技術が患者様に的確な認識として浸透していないという事でもあります。また、このような学会に参加され、日々研究を惜しまないドクターがいる一方で、的確な診断・治療を施さずにインプラントを行ったことで生じている「トラブル」の方がクローズアップされているからではないでしょうか。インプラント手術は外科手術だからこそ、決して簡単な手術ではないといえます。
しかし、正確な判断・高い技術をもつドクターにより的確に治療が行われれば「人生を変える」歯の治療手段の一つだと感じます。
最終的には患者様自身により、納得の上、インプラントを受けられる医院を選ぶことになりますが、本サイトが患者様にインプラントのメリット・デメリットを的確にお伝えし、治療手段の一つとしてお考えいただけるような助けになることができればと思います。


インプラント ネット運営スタッフ : 千葉・高田
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