American Academy of Esthetic Dentistry - 第35回 アメリカ歯科審美学会2010

会場の様子 ハワイ マウイ島

■ 第35回 アメリカ歯科審美学会 (American Academy of Esthetic Dentistry)

2010年8月3日(火)から6日(金)の4日間にわたり、アメリカ合衆国はハワイ・マウイ島において、35回目となるアメリカ歯科審美学会(以下AAED)が開催されました。

AAEDは、本学会の初代会長であるDr. Ronald E. Goldstein(ロナルド E ゴールドステイン)氏が、「エステティック」の本来の趣旨である、「審美性と機能性の回復を兼ね備えた治療」を基盤に、最新の技術と知識を併せ持った指導者を育てるため、少人数で発足した学会です。設立当初から一貫した完全招待制ですが、世界各国のメンバーと参加者を含め、今や1000人を超える著名な学会となっています。

アメリカ歯科審美学会のホームページはこちら → http://www.estheticacademy.org/


講演の様子
▲ 講演の様子
熱心に耳を傾けるドクター達
▲ 熱心に耳を傾けるドクター達

審美歯科治療は、美しさに焦点を当て、様々な歯科医療が相互に関与して成り立つ歯科治療であることから、同学会では様々な歯科分野の著名なドクターが終結し、熱くディスカッションが繰り広げられました。スピーカーであるドクター方からは、より良い審美治療を患者様に提供するために貪欲に研究を続ける強い熱意が感じられました。

下記に、本学会で特に注目を集めたプログラムの一部を簡単にご紹介いたします。


■ 注目を集めたプログラム

ジルコニアアバットメントの有用性とチタンの弱点
スピーカー: Dr .Blaum Miller
ジルコニアの有用性について、下記のように発表されました。
1. チタンより生体親和性にすぐれる。
2. チタンより粘膜の変色を起こす可能性が低い。
3. プラークがチタンより着きにくい。つまり、炎症が起こりにくい。
抜歯時の骨吸収と歯肉の関係
スピーカー: Dr. Sonia Leizy
抜歯時の骨吸収について、”歯肉の厚みが2.5mm以上の人なら抜歯後の歯槽頂の骨吸収が0.26mmであるのに対し、2.5mm以下の人では1.45mmも骨吸収する”と研究結果を発表されました。
インプラント治療に再生技術を応用してMI(minimal Intervention:最小の侵襲)を実践した例
スピーカー: Dr. Marc Nevins
再生治療が成功するには以下の4つの要素がうまく噛み合う必要があると述べられ、下記の4点を挙げられました。
1. 細胞 
3. 足場 
3. 分子レベルの信号 
4. 血液供給
最新のアバットメントシステムの比較
スピーカー: Dr. Christian Stappert
上部構造アバットメントについて、下記のように述べられました。
・セラミッククラウンの生存率は、5年なら95%、10年なら90%の結果となった。
・アバットメントのマージンフィットは3iが一番良い。
・強度の差の大きいベニヤ冠とジルコニアポーセレンを一緒に使わないこと。
インプラント治療における前歯部の歯間乳頭
スピーカー: Dr. Joseph Kan
前歯では、抜歯してから2ヶ月で82%の患者で3mmの歯間乳頭が破壊されるとして、歯肉の下にある骨を使う方法と結合組織移植で回復させる方法について講演されました。
エンド治療とインプラント治療の成績の比較
スピーカー: Dr.Stephen Buchanan
エンド治療(歯内療法)インプラント治療を比較し、下記のように発表をされました。
・エンド治療とインプラントの治療成績と予後の論文を発表、上手いドクターがきちんと行えば、双方成績は一緒である。
・大きな病巣でもエンドに精通した歯科医が適切な処置を施せば治癒できる。

※講演の発表内容については、当サイトにおいて必ずしも保証するものではございません。

歯科メーカーの展示ブース
▲ 歯科メーカーの展示ブース
各メーカーの展示ブース
▲ 最新の機器などが紹介されていました

■ AAEDに参加して

審美歯科学会ということで、全体を通して、新しい知識・技術・材料をいかに審美に応用するかに焦点をあててスピーチされていました。特に、ジルコニアアバットメントについて発表されている先生方が多数いらっしゃったことが印象的でした。ただ、ジルコニアはチタンより生体親和性に優れ、粘膜の変色を引き起こす可能性も少ないしプラークもつきにくいですが、長期データが無いため一般に広まるには時間が掛かるのではないかとも感じました。

また、インプラントの発表をされている先生が大半の中、エンド治療も研鑽を積んだ経験のある医師が治療すればインプラントと同じくらい長持ちすると証明された先生もおられ、抜歯を勧める先生方には新鮮だったのではないかと思います。

各国の先生方が刺激を受け合って、新たな技術の進歩がここから生まれることを期待致します。

次回、第36回AAEDは、2011年8月2〜5日にプエルトリコのリッツカールトンホテルにて開催されます。

レポート:インプラントネット事務局

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